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布施明「新相馬節」 [music]

ゆうべは布施明のライブに行ってきたんだけれども、今年多くの芸能人や演劇人等々がそうであったように、東日本大震災を経て今年のライブは様変わりしていた。
たとえば、例年10曲前後におよぶあのヒット曲メドレーがない、一人芝居がない、アンコールの名物だった花束&握手タイムがない。
あえて盛り上がりをつくることを避けて、そのぶん1曲1曲をより静かに、大切に歌っている感じ。

圧倒的な歌唱力は相変わらずだ。高音のバロメータである(と勝手に思っている)「君は薔薇より美しい」も、ほぼ完ぺき。ジャズも楽しかったし、締めの「マイ・ウェイ」、それにオーラスの「愛は限りなく」(ジリオラ・チンクェッティ)がまた、哀感こもっててよかったー。さすが元カンツォーネ歌手であります。

そしてなにより胸に響いたのは、福島県の民謡、「新相馬節」。
震災後、相馬の避難所を訪れるにあたり、何日も何日も聴きこんで練習していったんだけれど、「見上げてごらん夜の星を」を歌ったらみなさんがぐずぐずになって(泣いて)しまったので、結局歌えなかったんだとか。
ちなみに、「上を向いて歩こう」は歌わないように、地元の知人から前もって頼まれていたそうだ。ラストの歌詞、「一人ぼっちの夜」がNGというのがその理由。
力づけるつもりの歌が、人を悲しませることもある。言葉って、むずかしい。

帰宅してからググってみたら、YouTubeで発見。



これを聴いていると、ジャンルとか関係なく、布施さんはほんとうの「歌手」なんだなーと思う。

ライブが終わったあと、駐車場の出口で並んでいたら、目の前の楽屋口から車で出てきた布施さんとばったり。
運転席から、にっこり笑いかけてくれた。思いのほか超爽やかな笑顔で。(←失礼)
はるばる千葉県から、自分で運転して帰るんだ。お疲れさまでっす。

IMG_0946.jpg
あわててカメラを出したものの、瞬く間に人だかりが。写ったのは布施さんの車の後輪のみ・・・。(´-`) ンー


タグ:布施明 相馬
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そーすけ

こんにちは^^。
ふふふ。よかったですね~。恒例(かな?)の布施さんのコンサート楽しめたんですね。さすがに歌手だな!って思うことって、以前はいっぱいあった(歌番組が今は少なくなったせいかもね)。布施さんは、その「さすが」の歌手なんですねー。
今年は・・・そうか、いろんな所に気遣いしてるんだなぁ。しすぎてもいけないけど、気づかないのもいけない。大変だなぁと思いました。
身の回りには、同年代はもちろん人生の先輩の方々も、「え?」と思うような気づきのできない人が、すごく多くなったと思ってます。
なーんて言っても、自分も気づけずにし、偉そうにこんな事言ってるダメな人なのかも知れません。でも気にかけてたら少しはましかなって思って。
車の中からの布施さんの爽やかな笑顔は、カメラが間に合わなくてもしっかり記憶に入ったんですよね^^


by そーすけ (2011-10-30 14:03) 

amane

amaneも布施さんの歌声は 素晴らしいと思います
相手の気持ちに立って考えることが出来るっていうことも
素敵だと思う
こんなにやってあげてるのにって思う人は 
やはり衰退していくのでしょう
それにしても
生で素敵なおなかに響くような声が聴けたなんて
気持ち 充電してきましたね♪
by amane (2011-10-30 17:04) 

お水番

はじめまして。和楽器バンドで「新相馬節」を演奏している者です。
布施明さんが新相馬節を歌っていらっしゃるとのこちらの記事を紹介させていただきました。
by お水番 (2011-10-30 21:22) 

sara

震災以降、歌を聴いていて泣いてしまう事は、多々有りますね。
今朝も、岩手の観光船のガイドさん、仕事で歌っていて感極まった事が何度もあると・・。
その歌を聞いていたら、朝から泣けて来てしまいました、私も、

布施さんの唄、しっかり民謡になっていますね。声も語句の言い回しも。
私も、小さい頃から民謡を聴かされて育ったから、自然と唄ったりしますけど。
民謡って、魂の歌だと思うから、布施さんの民謡に、心が動かされる思いがしました。
チヨロギさんも、きっと魂の歌を聴かれて、心が動かされたことと思います。
震災後、人々の暮らしは変わりました。昨夜も、そば屋さんでお隣が南三陸町から仮設に移った方達でした。
辛い思い出話を語ってらしたけど、私にはそれが「負けないぞ」って聞こえて来ました。

by sara (2011-10-30 23:54) 

チヨロギ

◇そーすけさん◇
こんばんは~(^.^)ノシノシ
そうです、毎年秋の恒例です。もう何年になるかなあ。
母のおつきあいではありますけど、何しろ歌のうまい人なので、一緒に楽しんでます。
歌番組、減りましたよねー。あってもほとんど見なくなったし。
たまに見ると知らない歌手ばっかりです。( ̄ー ̄;
 > いろんな所に気遣いしてるんだなぁ。しすぎてもいけないけど、気づかないのもいけない
そうですねー。過剰な自粛はどうかと思うけど、デリカシーがないのもまずいです。
布施さんはお母さんが岩手出身だそうで、いまも東北に親戚が多く住んでいるんだとか。
公式サイト(http://fuse-akira.com/message.html)に震災への想いが書かれているのですが、
被災地訪問時の「きっと、お邪魔でしたでしょう」の言葉に、布施さんの優しさを感じました。
わたしも偉そうに震災を語れる立場ではないけれど、せめて忘れずにいたいです、故郷を失った人々のことを。
車窓の笑顔、しっかり焼きついてますよー♪( ̄ー ̄)
by チヨロギ (2011-10-31 01:51) 

チヨロギ

◇amaneさん◇
布施さんの声、音域も声量も情感もそうですが、
新しいことへのチャレンジとか努力とかの面でもすごいなーと思います。
それに、せっかくいっぱい練習していった曲を避難所で歌わなかったというのも、
布施さんの慎み深さというか、気遣いを感じさせるエピソードですよね。
ライブのお客さんはやはり中高年の方が多いのですが、帰り道、
「よかったねー」という声があちこちで聞かれました(^^♪
by チヨロギ (2011-10-31 01:54) 

チヨロギ

◇お水番さん◇
はじめまして。ご訪問&ブログでのご紹介ありがとうございます。
新相馬節、心にしみるいい歌ですね。
by チヨロギ (2011-10-31 01:54) 

チヨロギ

◇saraさん◇
わたしは首都圏を離れて住んだことがなく、民謡というものにほとんどふれたことがないのですが、
転勤で地方に住んだことのある母や姉は、その土地土地の民謡がすごくいいと言っています。
saraさんはきっと、幼いころから民謡に親しまれているのですね。うらやましい。
この「新相馬節」の歌詞には、津波や原発事故で故郷に帰れなくなった人たちのことも重なって、
聴いていて胸が詰まります。
「震災後」をどう生きるかは、被災者の方々のみならず、
わたしたち日本人一人ひとりにのしかかってくる重いテーマだと思っています。
大事なのは、風化させないこと、忘れないことですよね。
by チヨロギ (2011-10-31 01:59) 

柴犬陸

布施さんの新相馬節、胸に迫ります。
生の歌声なら、きっともっと。
歌が上手いだけではなく、発信力がありますね。
布施さんが被災地を回っておられたことも知りませんでした。
おっしゃるとおり、「きっと、お邪魔でしたでしょう」の言葉にハッとしました。
こういう感想はあまり聞かなかった気がします。
ありがちな上から目線とは全く無縁ですものね。
by 柴犬陸 (2011-10-31 23:22) 

チヨロギ

◇陸さん◇
布施さんが言うには、新相馬節の2番の歌詞がとくにいいんだと。
言葉をかみしめ、歌の世界を心から理解したうえで歌っているのでしょうね。
それが陸さんのおっしゃる「発信力」にもつながっているのだと思います。
父親が「戦争」を引きずって生きてきたように、
自分はこれから「震災」を引きずって生きていくのだろうと話していました。
布施さんの意外な面を知って、いろいろな意味で余韻が残るライブでした。
by チヨロギ (2011-11-01 00:29) 

チヨロギ

◇Yuseumさん、nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2011-11-02 23:42) 

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