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気仙沼に消えた姉を追って [books]

スポーツ・ジャーナリストの生島淳氏は、気仙沼出身。
2011年3月11日、東日本を襲った巨大な津波は、彼のふるさとを、2月に亡くなったばかりの母の遺骨を、そして気仙沼に暮らす姉を家もろとも飲み込んでいった。

地震直後、無事を知らせる電話を東京の身内の家にかけていながら、なぜ逃げるという判断をしなかったのか。
そもそも数十年に一度は津波に襲われるこの町を、なぜ彼女は生涯離れようとしなかったのか。
姉の行方を探す旅は、彼女の57年の人生を追体験する旅となり、やがて気仙沼という土地が持つ豊かさを知る旅となっていく。

祖母の代から気仙沼に暮らしてきた生島家の歴史を綴るだけではなく、この震災を生き延びた水産加工品店、中学校教員、現役高校生に話を聞いていて、けっして湿っぽい内容ではない。この地で生きていこうというそれぞれの覚悟には、読んでいてすがすがしい気持ちにもなる。それでも、姉を失った著者の悲しみが行間に見え隠れして、何度も胸がつまった。

「あの日」から、もう9か月。


気仙沼に消えた姉を追って

気仙沼に消えた姉を追って

  • 作者: 生島 淳
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/11
  • メディア: 単行本



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コメント 7

amane

もう9ヶ月 いや まだ9ヶ月なんでしょうか 
一日も早く安らかに過ごさせてあげたいと思います。。
by amane (2011-12-12 23:22) 

チヨロギ

◇amaneさん◇
まだまだ復興はこれからですね。
来年はもっといい年でありますように。
by チヨロギ (2011-12-13 01:10) 

柴犬陸

TBSラジオを聞いていると、生島淳さんがたびたび登場します。
お姉さんのことを希望をもって探していると言っていたことも覚えています。
とても他人ごとに思えません。
by 柴犬陸 (2011-12-14 02:54) 

チヨロギ

◇陸さん◇
前の会社のボスが生島氏と親しくしていて、ずっと経過が気になっていました。
ラジオで話すことが、ある種の治療になったとのことですが、
この本を読んでいると、書くことで震災やお姉さんの死と向き合い、
やっと前を向いて進むことができたんだなと強く感じられました。
いま、気仙沼の高校生への奨学金設立の準備をされているようです。
by チヨロギ (2011-12-15 09:30) 

チヨロギ

◇Yuseumさん、nice!ありがとうございます。
by チヨロギ (2011-12-26 02:08) 

sara33

気仙沼や石巻は、とても豊かな漁場で、人々は海と共に生活しているのでしょうね。
それでも、子供達は正直だから「海が嫌いになった」と言ったりしていて・・。
今日で10ヶ月。まだまだ震災の爪痕はとても大きくて、一歩ずつ進むのが精一杯。
小さくても明るいニュースを聞く度に、少し救われた思いを感じる今日・この頃です。
震災で肉親を失ってしまった方の悲しみは、如何ばかりかと、聞く度に涙が溢れてしまいます。
by sara33 (2012-01-11 23:52) 

チヨロギ

◇sara33さん◇
東北の実家に帰っている元ボスがこの本について、
まるで自分の物語を読んでいるようだったと話していました。
すぐれたルポルタージュとはそういうものだとも。
東北に住んだことのないわたしでも身近に感じられるというか、
とても引き込まれる本でした。
saraさんも機会がありましたら、ぜひ。
by チヨロギ (2012-01-12 00:58) 

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