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その妹はたくましいのだった [play]

シアタートラムでシス・カンパニー「その妹」を観劇。
いまさら武者小路実篤かあ、と迷っていたところ、その昔(自称)文学少女だった母親が妙に乗り気なので、一緒に観ることに。
なにしろ、あらすじを読んだだけで暗い。
画家としての才能がありながら戦争で失明し、いまは小説家を目指す兄(市川亀治郎)と、彼の才能を信じて献身的に支える妹(蒼井優)。
その妹にとんでもない縁談をもってきた叔父夫婦のもとを離れ、編集者・西島(段田安則)の援助で何とか兄妹2人で暮らしはじめるものの、西島の生活も行き詰まって家庭崩壊寸前。
はたして彼らを待ち受ける運命とは――。

ところが、これが意外とおもしろかった。先入観はいけませんね。
台詞がものすごい早口で、しかも古典的女言葉「○○ですわ」の連発に最初は違和感をもったけど、たちまちなじんでしまい、だんだん耳に心地よく響くようになってくるのが不思議。
最近は会話の聞き取り能力がすっかり衰えた母でさえ、「台詞がきれいに聞こえておもしろーい」と喜んでいるくらいだもの。
登場人物は、兄といい西島といい、過酷な運命をどうすることもできないと嘆くばかりで情けないんだけども、妹のほうは「あたしって可哀想」なんて少しも考えていない。
むしろ、西島が兄の才能のためでなく自分への同情から援助することは、彼女のプライドが許さんのです。
最後にある決意をして叔父の家に行ったあと、
「私は悪いことをしたでしょうか?」
と兄に問う妹の、凛とした美しさ。
河原雅彦のテンポのいい演出と、蒼井優のきりっとした演技に、すっかり魅了されてしまった2時間半でありました。

これを機会に、実篤の原作を読んでみてもいいですわ。(←なりきり)


その妹 (1960年) (岩波文庫)

その妹 (1960年) (岩波文庫)

  • 作者: 武者小路 実篤
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1960
  • メディア: 文庫


げ。中古品12,000円て。


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ヘンリー筋肉痛 [play]

左上腕二頭筋に、鈍い筋肉痛。
ひさびさに長電話をしてしまった。っていってもチケット予約電話ですが。

昨日は新国立劇場の「ヘンリー六世」先行予約の初日だった。
仕事が休みなのをいいことに午前10時から、つながらない電話を延々リダイヤルしつづけて1時間半。
やっとつながったと思ったら、今度は保留状態になってしまった。
ボックスオフィスの人とようやく話ができたとき、すでに第三部の希望日は残り2席!

いやー、こんなことになるとは思わなかった(;´Д`A ```
地味な芝居だから楽勝だと思っていたけど、よくよく考えたら、三部作の通し券を割引で買える唯一のチャンスがこの電話先行予約なのだった。
そりゃー集中するわけだ。少しでも安く買いたいもんね。

いまのところ、座席は第10列が最前列の模様。つまり通路より前のブロックは販売していないことになる。
わたくし一日で三部作9時間を一気に見倒す体力はないので、約10日間の間に第一部から三部までの3本をばらして観る予定。

9時間の通し公演は演じる俳優も大変だと思うが、スケジュールを見ると、通し公演の日は前日と翌日が休演になっている。
同じく三部作9時間モノのシアターコクーン「コースト・オブ・ユートピア」の日程を見たら、こちらの通し公演は二日連続が基本のようだ。ふぇ~。
キャストの平均年齢の違いでしょうか( ̄ー ̄;

21日に行なわれた「ヘンリー六世」制作発表のニュースは、こちら
公式サイト(http://www.atre.jp/henry/)にも近々、動画がアップされるらしい。
ただ、ジャニーズの岡本健一の顔はやっぱり出ないんだろうなぁ。
せっかく制作発表に来てるのに、しかもあのリチャード三世役なのに、もったいない話である。


ヘンリー六世 第一部  シェイクスピア全集 〔1〕 白水Uブックス

ヘンリー六世 第一部 シェイクスピア全集 〔1〕 白水Uブックス

  • 作者: ウィリアム・シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 新書



ヘンリー六世 第二部  シェイクスピア全集 〔2〕 白水Uブックス

ヘンリー六世 第二部 シェイクスピア全集 〔2〕 白水Uブックス

  • 作者: ウィリアム・シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 新書



ヘンリー六世 第三部  シェイクスピア全集 〔3〕 白水Uブックス

ヘンリー六世 第三部 シェイクスピア全集 〔3〕 白水Uブックス

  • 作者: ウィリアム・シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 新書



タグ:新国立劇場
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夏夢みやげ [play]

怒涛の5月が終わった。

・・・っていうのも大げさだが、後半2週間で4本の観劇は、楽しいけどさすがにキツかった。
脳内ハードディスクが激しく断片化してる気がする。デフラグできたらいいのになー。

楽屋」から3日おいて、トリは新国立劇場・中劇場での「夏の夜の夢」。



2年前の初演(感想はこちら)につづいて、この芝居を観るのは2度目。
たぶん、配役は前回と変わっていない。

相変わらず麻実れいの妖精女王様がすっごくかわいい。ふりふりドレスも背中の羽も、抜群に似合ってるし。
オーケストラピットの楽団の演奏も、祝祭っぽくて華やか。
やっぱり生バンドの音っていいなぁ♪

ただ、神田沙也加の歌にはちょっとがっかり。
音程は狂わないけど声量が小さすぎて、生演奏の迫力が半減してしまう。
初演のときは芸能界に復帰したばかりという物めずらしさもあって、大らかな気持ちで観ていたけど。
この2年でもう少し成長したところが見たかったぞ。

いっぽう、妖精パックのチョウソンハはパワーアップして、もうやりたい放題。
はりきりすぎて前回みたいに大ケガしないようにねv

途中、ときおり睡魔に襲われながらも(おい)、御前芝居をほめられた職人たちが陽気に踊りだすシーンで涙腺にきてしまった。
最後のパックのセリフは何度聞いても感動モノだ。
チョウソンハ、なんていい表情をするんだろう。



今回、イープラスの先行予約でペアチケットというのを買ったら、プログラム(800円)が1冊ついてきた。
こんなおまけも。



左は新国立劇場のロゴが入った金のブックマーク。なかなか使いよくて気に入っている。
右は、「ヘンリー六世 三部作」先行予約のお知らせ登録をした人にくれるボールペン。
ペンの胴体部分に縦長の金属がついていて、そこを引っぱると・・・。



新国立劇場の演目が書かれた広告がくるくると出てきた。
ただし内容はオペラばかり。しかも2008/2009シーズンなので、半分以上終わっちゃってる。
タダでもらったから文句言えないけど、なんかわびしい気分・・・(;´д`)


タグ:新国立劇場
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雨のち晴れ [play]

土曜日は冷たい雨の中、下北沢の本多劇場へ出かけた。
あそこはチラシを入り口で配らずに座席に置いておくスタイルのようだけど、今回はちょっと困った。
早めに席についてパンフレットを見ていたら、まだ空いていた隣の席にひじが触れてしまったらしく、置いてあったチラシがずり落ちそうに。
あわてて置きなおそうとしたんだけど、大量のチラシの束は、雨の日なもんだからビニール袋に入ってる。
これがつるつる滑って、置きにくいのなんのって(涙)
折りたたんだ椅子の細いスペースに、安定の悪いチラシの束を載せていくスタッフの技巧には恐れ入るばかりだ。

観たのはナイロン100℃の「神様とその他の変種」。
不条理劇っぽい感じを想像していたが、もっとあたたかくて、何より救いのある作品だった。
出てくる人間、みんな好き。あ、神様だけ例外ね(笑)

この芝居を草なぎ剛くんも、逮捕の前日に観に来ていたとKERAがブログに書いていた。
その文章が、とてもあたたかい。
みのすけの○○出しエピソードには笑ったが、そういえば私の大学時代にも、酔っぱらうとお尻を出したがる男子がいたっけ(苦笑)
これくらいで大騒ぎするほうがどう考えたっておかしい。
早く復帰して、KERAの演出する舞台に立つ草なぎくんの姿を観たいものだ。



気持ちよく晴れた日曜日は、初台の新国立劇場へ。
シュート・ザ・クロウ」の千秋楽である。
行こうかどうしようかずーっと迷っていた芝居だけど、新聞に劇評が出て、あわててチケットをとった。
それでも千秋楽がとれたのは運がよかったのか、それとも・・・。地味な作品だからなぁ。

こっちのほうが不条理劇だった。
救いのないラストではあるけど、不思議といやな後味はない。
しかし小劇場の椅子はつらかった。
短い芝居でよかったなー。ナイロンのような3時間芝居じゃ、とてもお尻がもたない。



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